太古、人類の祖先は古細菌であった 2-2

太古、人類の祖先は古細菌であった 2-2

システム
 このように、意識が知覚するのはほんの一部であって、あとの膨大な量の情報は皮膚の感覚が行っているのです。舞踊でも音楽でもスポーツでも、意識したらだいたい失敗します。最高のパフォーマンスができた時は、無意識になったときです。
 この人間の意識が、そとに向かっていくとシステムを作って行くことになります。
 人類は、一人で生きていくよりも、グループを作って生きていく方が、生存に適しているということを学んでいきます。そうして、家族集団から部落や町ができて、農耕が始まるとそれをまとめる長が生まれ、王が生まれ、国ができて、国家となっていきます。そうすると、それを管理するシステムが生まれてきます。今でいったら国や会社の管理システムです。

 システムは、生き残るために作られましたが、戦争が始まると、軍隊というシステムができて、死に駆り立てられることになります。そのシステムは、現在は経済競争の中に組み込まれています。
 本来は、システムは人間のためにつくられました。人間のためにシステムがあるのであって、システムのために人間があるのではありません。ところが、現在人間はシステムに使われている状況です。

 私は、25歳の時に3年間勤めていた会社を辞めて、旅にでました。その時私は、初めて会社から解放されて、会社の組織、システムを意識しました。辞めるとき、親切にも心配してくれた先輩がいて、会社にいれば昇進、昇給もあり、安全だが、辞めたらどうして食っていくのだ、と忠告してくれました。
 その忠告を振り切って、五年間の放浪の旅にでたのですが、今思えば人間の意識が作り上げたシステムの中で、どう生きればいいのかを学ぶ旅だったようです。
 ロンドンのレストランで皿洗いをやっていた時、一流私立大学生が他の学生を卑下する態度を見て、有名大学のシステムに依存し過ぎている人がいることに気づきました。また各国の日本大使館では、無職というだけでぞんざいに扱われ、公務員の閉じられた組織を感じました。
 これらの経験から、私は、個人がその尊厳を保つためには、システムに依存し過ぎず、外からの情報に目を閉じないで、自分を外部に向かって解放することが必要であると思いました。

人間の尊厳
 人間は、「システム」 を作る意識を持っていますが、自分を大切にする本能も持っています。どちらも、自分を大切にするところから始まりましたが、システムが強大になると、一人歩きを始めて人間にとって危険になります。組織の中で、自分の尊厳を守ることと組織を優先することで葛藤して、自殺してしまうことが起こり、よくニュースなどで報道されます。
 このシステムから逃れて、自分の尊厳を守って活動する人たちが、芸術家なのでしょう。だいたい芸術家たちは、皮膚感覚から入っていくので、システムに飲み込まれることはなく、かえってシステムに反発し、反骨精神を持っています。

 私は、重度の身体障害者を施術してから、その崇高な笑顔に心を打たれました。それがきっかけで、重度障害者や知的障害者のことを知りました。(『沈黙を越えて』柴田保之著、萬書房) そして、この人たちが不自由な体を使って、手のひらやパソコンで言葉を紡ぎ始めたのです。
 私は、この人たちこそ、人間の尊厳を守る真の芸術家ではないかと思いました。
 神原康弥さん(小学3年生)は、筆談で、「無題」 という詩を書いています。

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