量子論の不思議な世界

量子論の不思議な世界 2


三次元と二次元の世界

 この時、ホログラムを思い出しました。ホログラムとは、光の干渉の仕方を二次元の平面に記録しておくことによって、三次元の立体像を再現する手法のことです。暗い部屋の中に映し出される三次元映像は、幻想にすぎません。情報の実体は、デジタルで記録されている二次元の平面の方にあります。

 これを敷衍して考えていくと、私たちが暮らしているこの三次元は、幻想にすぎないということになります。実体は、宇宙のどこかに記録されている二次元の世界にあるのです。ちょうどブラックホールのように。

 ここでちょっと説明を加えますと、科学者によれば、ブラックホールの内部にある情報は、すべて表面にあるというのです。三次元で起きていることが、ブラックホールの表面(二次元)に記録されているというのです。このブラックホールの二次元の世界には、時間がないのだそうです。この時間のない世界を仏教では、「涅槃」 といいますから、そこはちょうど仏教でいう 「解脱」 して到達する 「涅槃」 のような世界かもしれません。

 またヨーガでは、この世はすべてマーヤ(幻想)であるというのです。ちょうど、映画館を想像してみてください。映写機からスクリーンに、喜怒哀楽など様々な映像が映し出されます。映写機を止めてしまえば、スクリーンの映像はすべて消えてなくなってしまいます。後に残るのは、スクリーンだけです。そこでヨーガでは、この世はスクリーンの映像のように幻想であると考えるのです。
 今度は、映写機を心の働きに譬えてみましょう。映写機を止めればスクリーンの映像は消えて、スクリーンだけが残るように、心の働き(想念)を止めてしまえば、現実と思われていた三次元のこの世(映像)は消えて、実在(スクリーン)だけが残ることになります。ヨーガでは、心の働きが死滅した時に、本当の自分(真我)が現れ、それは梵我一如、宇宙と一体であるというのです。

 以上のようなことを、豊洲にあるチームラボのデジタルアートを見て、私は考えさせられました。チームラボのデジタルアートとは、「アート、サイエンス、テクノロジー、デザイン、そして自然界の交差点を模索している、学際的なウルトラテクノロジスト集団」 だそうです。

 このチームラボを私に紹介してくれたTさんは、とても知的で上品な女性で、私のヨーガ気功教室に熱心に参加されている方です。その彼女が、チームラボについて次のようなコメントを述べてくれました。
「チームラボの話はとても示唆に富んでいると思っています。東洋的モノの見方、西洋的モノの見方、一元論、二元論、右脳左脳、量子力学とアートとテクノロジー、一人のアーティストと集団でつくりあげていくアート。
西洋科学は今まで非常に左脳的進化を遂げてきましたが、量子力学でついに哲学的右脳的領域に科学が踏み込んできて、西洋と東洋、科学と哲学・宗教がついに別の登り口から一つの山の頂に到達しようとしているそんな興奮も覚えます。」 

 Tさんのこのコメントは、大変に私の興味をそそるものでした。そこで興味をそそられたついでに、量子論の世界へ潜って、もっと深く宇宙の本質を理解できないだろうかと思いましたので、これから考えてみることにします。

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