心とは何かを探し求めて

心とは何かを探し求めて 1


時間は存在しない?

 「あなたは、高齢者です」 と言われてみても、不思議なことに、私には、自分が高齢者という実感がありません。74歳で体が不自由なく動くので、まだ若いと思っているだけなのかもしれません。平成13年に高齢者を60歳以上と定義し、「自分が高齢者と感じるか」というアンケートでは、「はい」 と答えた人が43%くらい、「いいえ」 が51%くらいですから、半数の人々がまだ自分は若いと思っていることになります。

 私たちは、高齢者と言われてもそう感じないのには何か理由がありそうです。それは、人々が時間が存在しないことを、無意識に知っているからではないかと私は思いました。
 どういうことかというと、量子論では、そもそも本質的には、時間は存在しないからです。物理学的に存在しているのは、「今」 だけで、私たちが心で認識しているのは、「今」 の連続でしかない、と量子論では考えるからです。
 例えば、カレンダーに書いてある未来の日付の世界は、どこにあるのかと問われたら答えることができません。同様に、過去もどこにあるのかと問われたら答えられません。あるのは 「今」だけです。時間というものは、社会生活に便利で必要なために、便宜的に作り出したもので、物理学的な概念ではないというのです。

 時間はないと言っても、歳を取るではないか、歳を取ればシワやシミも増えるではないかと思います。実は老化現象は、時間とは関係ないのです。宇宙から大量の放射線が身体を通り抜けていく時に、細胞やDNAが少しずつ傷つけられ、老化をもたらしているのです。それが証拠には、旅客機のパイロットや客室乗務員は、成層圏の近くを飛んでいるので、地上にいる人よりも大量に放射線を浴びるために歳をとるのが早いといわれています。

 このように歳をとるのも時間のせいではなく、宇宙の空間で実際に生じている物理的現象が原因というのです。人間が月の動きや、太陽の動きをみて時間を感じると思うのは、その自然界の物理的な変化を見て、その動きを時間と感じているからです。宇宙は空間だけで、時間というものがあるわけではないと量子論はいいます。

 このような量子論を知る前から、私は時間が存在しないことを、身近に自覚することがありました。気功の施術をしてあげた赤ちゃんや子供たちが、20年後にまた施術を受けにきた場合です。幼かった子が、大学生や社会人に立派に成長した姿を見たり、あるいは結婚されてお子さんを連れてきた場合には、びっくりすると同時に、自分の中にはそんなに歳月が経ったという実感がなく、浦島太郎のような気分でした。つまり私の中には、20年間の時間が存在していなかったのです。そう考えると、私は、時間が存在していないことを、無意識に知っていたのかもしれません。
 こんな些細な体験から、私は、アインシュタインが、「普遍的な時間の流れなど存在せず、時間は直線的でもなく、絶対的でもない。出来事の直線性は観察に依存する。どう見るかによって決まるため、観察者によって、時間の順序や長さが変わる」 と言ったのは、こういうことなのかと納得したりしたのでした。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 次ページ>>