「自分とは何か?」 ある読者からの質問に答えて

「自分とは何か?」 ある読者からの質問に答えて 1


 ある読者から、エッセイ 「太古、人類の祖先は古細菌であった」 をお読みになり、以下の感想文をお寄せくださいました。

 「エッセイを読ませていただき率直な感想になるのですが、先生にとって人生最大のテーマは『自分とは何か?』ということなのだなあと、あらためて感じました。先生にとってヨーガをやったり、様々な場所へ旅行されたり、様々な本を読まれたり、書かれたりといったことは全て『自分とは何か?』というテーマのためなのですね。
ただ、『自分とは何か?』というテーマには『答え』がありません。答えが出ない問いになぜこれほど関心を持っておられるのでしょうか?逆に答えが出ないからこそ、強い関心をお持ちなのでしょうか?
少し難しいご質問になってしまい、大変恐縮です。どうぞよろしくお願いいたします。」

 この読者からの感想文にあるように、私が 「自分とは何か」 を探し求めていたことは事実ですが、半分正解です。そのことと、「『自分とは何か?』というテーマには『答え』がありません。答えが出ない問いになぜこれほど関心を持っておられるのでしょうか?」 というご質問に答えてみたいと思います。

 私は、幼少時から小学六年まで体が弱くて、いつも病気をしていました。ある時は、子供心に、もう死ぬのかなと思ったことも何回かありました。そのため子供のときから、死ぬのが怖くて、「死んだら自分はどうなるのだろうか」 「自分とは何か」 を考えてばかりいて、夜はふとんを被って泣き、学校では無言で過ごしました。当時を知る同級生たちは、私の周りに 「静寂が張り付いていた」 と言っていますから、今なら自閉症と診断されるかもしれません。幼時から私は、このような変な子供でした。そして、成長するにつれて、「自分とは何か」 を知るために、色々な哲学書を読んだりしましたが、答を得ることはできませんでした。

 古来より人類は、考えることを始めたときから、神の存在、死後の魂、宇宙の始まりなど、究極の真理探究という答えの出ない問いを問い続けてきたのです。
これらの問いは、実際に古代インドやギリシアから現代まで、ずっと考え続けられてきたのです。しかし、今だに答えはありません。

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