超越的な感覚で時間を伸ばし、思いを実現させる方法

超越的な感覚で時間を伸ばし、思いを実現させる方法 3


時間の概念

 では時間とはなんでしょうか? まず時間は、私たちが思っていたものとは異なる歴史を理解する必要があります。最初に人類は、今まで時間をどう思ってきたのでしょうか。
 歴史を振り返ってみると、人間は数十万年前ごろから社会的集団を形成するようになり、それ以前の人類は時間を無秩序なものとみなしていました。すべてのことは偶然に起こり、そこには原因も結果も、理由もなかったのです。
 4万年ごろから社会集団が発達し、自然についての知識も多少増えて来て、時間を周期的に巡るものとみなすようになりました。時間の歩みは太陽(周期1日)、月(1カ月)、星座(1年)の動きのように永遠に周期を繰り返すものとされ、人間の生活に反映されてきました。
 やがて歴史は前に進むことでつくられると考えられて、ほぼ全世界で「時間は永久に前に進むもの」という見方に変わっていきました。そのため、16世紀には「一方向に前に進展する出来事」という発想が、時間の概念としてすっかり根づきました。(『フォース・ターニング 第四の節目』ビジネス社、ウイリアム・ストラウスとニール・ハウ著を参照)

 このように私たちは、なぜ時間は永久に前に進んでいくものと強く信じこんでいるのでしょうか?
 将来への時間の流れを、変わることなく一方向に進むとみなすのは、「エントロピー」の発想に強く関係しているからなのだそうです。
 ニュートン(1642年~1727年)の物理学、マックスウェル(1831年~1879年)の電磁気学、アインシュタイン(1879年~1955年)の相対論的物理学、そしてボーア(1885年~1962年)とハイゼンベルク(1901年~1976年)の量子物理学などの方程式は、どれ一つとして過去と未来を区別することができないのです。同じ出来事を、時間の中で逆にすすめることができるのです。

 そして、この世界の方程式に時間の矢が登場するのは、熱が絡んでいるときだけなのです。
 したがって時間と熱には深いつながりがあり、過去と未来が現れる場合は、きまって熱が登場してくるのです。ホットコーヒーが時間が過ぎて冷めていくように、熱があるときにだけ過去と未来を区別できるのです。その逆は起きないのです。これが、時間は前に進むものと思っている理由です。

 「熱力学の第2法則」 は、エントロピー増大の法則ともいい、物質は常に減少したり乱雑や複雑な方向へ向かい、やがて自然崩壊して無秩序になります。自然に元にもどることはありません。人間は生物が成長して老化したりする過程を、身近で認識できるからこそ時間を感じるのです。時間自体が存在しているのではなく、意識が時間を体験させているのです。物理学者は、私たちが時間を感じるのは、脳が記憶を保持することができているからで、本当は錯覚であるというのです。閉じた宇宙では、老人から壮年へ、壮年から青年へ、青年から赤ちゃんへ時間が逆に流れることもあるというのです。

 『時間は存在しない』の著者カルロ・ロウ゛ェッリは、次のように述べています。「ニュートンが登場するまで、人類にとっての時間は事物の変化を測定するための方法だった。それまで、だれも、時間が事物と無関係に存在し得るとは考えていなかたのだ。みなさんも、どうか自分の直観や考え方が『自然だ』と思わないようにしていだだきたい。それらは、前の時代の厚かましい思索家たちの着想の産物でしかないことが多いのだから。」

 考えてみると、私たちが時間は絶対に変わらないものと思い込んでいたのは、ニュートンの影響だったのです。
 ニュートンの時間は、「数学的で絶対的な真の時間」、何にも影響されず、いつでもどこでも一様にながれる時間で、「絶対時間」 と定義しました。私たちも、学校で習って、時間は絶対的なものと教えられてきました。このニュートンの考えた絶対時間を、私たちは疑いもなく「自然だ」と思い込んできたのです。

 ところが、100年前に、時間は絶対的なものではないと気づいた人物がいました。アインシュタインです。時間の流れは、山では早く、低地では遅くなります。時間が遅れるのは、重力場の値が小さいからです。彼は、特殊相対性理論で、時間は観測者によって異なり、また速度や重力によって変化すると主張しました。

 物理学者たちが、「場」 と呼ぶ素材には「電磁場」があります。電磁場は光を織り上げている素材で、電気モーターを回したり、コンパスを針に北を指させたりする力の源です。
 さらに「重力場」というものが存在するのです。重力場は、まっすぐな平面と同じようになめらかで平たい場合もあり、ニュートンが記述したのはそのような重力場だったのです。
 そして、重力場は、波のようにうねることもあり、伸びたり縮んだりすることができるのです。
 重力場のキャンパスは、伸び縮みする巨大なシートのようなもので、引っ張ったり伸ばしたりできます。そうやって伸びたり曲がったりすると、重力が生じて物が落ちるのです。
 1915年に重力場の方程式を書いたアインシュタインは、これで時間と空間の性質に終止符を打ったと思いました。ところが、一年も経たないうちに、量子力学がその終止符を御破算にしてしまいました。

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