量子論を身近に感じる

量子論を身近に感じる 1


量子論を理解するのは難しい

 「量子論の不思議な世界」 のエッセイを読んで、「読んだけれども、まったく分かりませんでした」 という感想を寄こした人が多くいました。この感想は、正直といえば正直です。というのは、一流の物理学者も、「量子論を利用できる人はたくさんいるが、量子論を理解している人は一人もいないだろう」と言っていますので、私たちが理解できなくても普通なのです。

 量子力学が正しいとすると、月は人間が見たときに月として現れ、見ていないときには何もないということになるようですが、これは、どう考えたらいいのでしょうか?
 アインシュタインは、「これは絶対に間違っていて、我々が見ていないときにも、 月は変わらず同じ場所にあるはずだ」 と述べていたそうですが、現在の私たちの暮らしを支えているコンピュータや半導体部品などは、量子論から生み出されたことを知れば、絶対に間違っているとは言えないのです。
 私も難しい量子力学は理解できませんが、私が自分なりに量子を身近に感じたことなら書くことができますので、量子論を考えるためのご参考にしてくだされば幸いです。

 さて量子論の中で、量子の絡み合い、つまり量子もつれという現象が出てきます。量子の不思議さは、遠く離れていても他の量子とつながっているように反応することです。何光年という離れた距離でも、瞬時に、光速よりも速く伝わるということですが、その実態は、まだ今の科学のレベルでは分っていません。
 ただその現象だけは把握できますので、量子コンピュータや量子テレポーテーションなどに利用されています。


身近に感じた量子もつれ

 その量子もつれというと、昔に体験した不思議なできごとを思い出しました。
 40年くらい前になりますが、私がロンドンで生活をしていた時、私を幼時から可愛がってくれた祖母が、明け方の夢の中に出てきたのです。電話がかかり、受話器から祖母の懐かしい声が聞こえました。
 「わしはもうだめだよ……お前、達者で暮らせよ」
 私は、夢の中で受話器を握り、懸命に祖母を励ましたように思いました。それから目が覚めて、夢と分かりました。祖母の夢など今まで一度も見たことがありません。不思議なことがあるものだな、と思っていた矢先、私の実家の母から、今おばあちゃんが息を引き取ったという連絡がありました。これは、虫の知らせとでもいうのでしょうか。今思えば、量子もつれの現象が起きたというふうに理解できます。

 人間は、誰でも量子により構成されていますので、量子もつれを意識して知覚を広げていけば、量子もつれを感知できるようになると思います。まず自分は、量子もつれを感じることができると信じることです。このようなことを信じなさいといわれても、一般的には難しいので、ただ漠然と信じるのではなく、 科学的知識をもち、理屈の上で納得できることが、科学的知識を身につけた現代人には必要なのです。

 そのような心づもりで生活をして、7月2日にコロナ禍のロンドンへ戻り、自宅待機を10日ほど続けていましたら、それから以下のようなことが次々に起こりました。

 以前、オランダに駐在していた医師の奥様が、ロンドンの私のヨガ教室へオランダから熱心に参加していました。その彼女にエッセイのお知らせをした折、昔のオランダのことを思い出しました。その翌日に、病院で腰痛の治療に通っているという女性から電話がありました。一向に腰痛がよくならないので、心配したオランダ在住の友人が、私の気功施術を紹介してくれたと言います。その30代の女性は、幸い一回の施術でよくなりましたが、このオランダでつながったご縁も量子もつれと関係がありそうです。

 そのようなことがあった後に、ロンドンから鉄道で3時間くらいの距離にお住まいの女性からメールが届きました。「今、ロンドンのホテルに滞在していますが、ギックリ腰になって困っています」 というのです。ちょうどその日は午後が空いていましたので、施術に来ることができました。その70代の彼女が、「以 前にも、先生にギックリ腰を治してもらいました」 というのです。私は、1~2年前かなと思ってよく聞いてみると、30年も前のことでした。大阪に住む友人から昨夜ラインで、「望月先生はロンドンに戻っていると思います」 というメールが偶然に届いたので、早速私に連絡ができたというのです。この大阪とロンドンを結び、30年ぶりに引き合わせたご縁も、量子もつれに違いないと思いました。

 まだこの他に、五つ六つと例がありますが、煩雑になりますので省きます。このように、私以外の外部に、情報を持つ人たちの量子があり、それと自分自身を構成している量子が、量子もつれの現象を起こすと、そこで他人の情報とつながることができるようです。

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