なぜ量子論は、東洋思想に近づくのか

なぜ量子論は、東洋思想に近づくのか 4


男性と女性は、なぜ考え方が違うのか?

 私の本やエッセイを読んだりして、心をコントロールする方々は、そのほとんどが女性です。難解な量子力学や量子もつれを、何となく理解してしまうのも、女性の方が多いのです。男性は、論理的に考えて、納得しないと無視してしまいます。女性は、直感で、全体的にものごとを掴むのが得意なようです。男性は、頭で理解できないと受け入れられない、信じることができない傾向があります。そのことに疑問を持ち、よく調べていくと、実は、この二つの考え方は、東西を二分する考え方の基になっているのです。

 私たちは、ものを考えるときには、論理(ロジック)的に考えます。この人間の脳のロジックは、コンピュータのロジックと同じだと言われています。コンピュータを作ったフォン・ノイマンが、コンピュータと人間の脳はよく似た原理で作動しているといっています。人間の脳も、コンピュータも、電気の信号を使って、情報を集めて時系列に並べてロジック的に判断しています。これは私たちが使っている言葉も同じです。

 人類の歴史を見ると、ホモサピエンスは旧人と同じ道具を使っていましたから、道具をロジック的に考えて作ることは同じでした。そのロジック脳が、ホモサピエンスになると、なぜ宗教や芸術を生み出せたのかは、大きな謎に包まれたままです。
 百年前に始まった心理学では、最初は心は 「意識」 だと考えました。これには、フロイトの無意識の発見などがあり、いろいろな批判がありました。
 また脳科学では、心とは脳の働きであると考えました。脳の研究は、すごい勢いで進歩していて、脳の神経細胞(ニューロン)の働きについては、ずいぶんと分かってきましたが、「私」 という意識や心が生まれるのは、依然として謎のままなのです。脳の神経細胞をいくら調べても、電気的、化学的な反応が分かるだけで、どこにも心は見つからないのです。

 ペンフィールドは、「脳科学の父」 ともいうべき人物ですが、カナダにある彼のお墓には、亡くなる直前に家族に話していた本音 「結局、心は脳にはなかった」 という言葉が、英語で刻まれているそうです。それでも脳科学者たちは、心は脳が生み出した副産物であると思って研究を続けています。

 世界で最も早く哲学を考えた古代ギリシャ人は、人間の心とは何なのかを考えました。そして、人間はどうやってものごとを考えているのか、どうゆうふうに思考しているのかを深く考えました。その結果、二つの考え方があるとことを発見しました。ものごとを集め並べて分析するロゴスと、全体を直感で把握するレンマです。この二つの知性の考え方は、やがて西洋の論理と東洋の思考方式とを根本的に区別することになっていくのです。

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