死について考える

死について考える 3


細胞の死と再生

 細胞の死には、遺伝子に支配された細胞死と、膨らみ、破裂して死を迎える細胞の壊死、外部からの刺激などによる事故死があります。
 細胞が自ら一定のプロセスを経て死んでいく細胞死を、アポトーシスといいます。細胞は、周囲から 「自分は異常をきたして有害な細胞になっている」 というシグナルを、総合的に判断して 「自死装置」 を発動します。つまり、細胞の自殺です。このアポトーシスが、生体制御と生体防御の役割をもちます。

 生体制御では、オタマジャクシをカエルに変えたり、芋虫がサナギから蝶に変身させたりします。また人間の指も、アポトーシスによって細胞の塊を削って作られます。
 生体防御では、ウイルスやガン細胞などの異常をきたした細胞を消去する役割をもちます。

 また細胞には、再生系と非再生系があります。
 再生系とは、分裂・増殖する機能を持つ細胞です。非再生系とは、ほとんど増殖せずに生き続ける細胞(脳の中枢の神経細胞や心臓の心筋細胞など)です。この非再生系の脳細胞も、一定数毎日死んでいきます。加齢と共に劣化していくのです。この非再生系の細胞にプログラムされた死は老衰死です。
 再生系のアポトーシスは、細胞を分裂・増殖し消去できますが、その回数に上限があります。人間の場合は、約50回再生が可能だそうで、それを超えたら死を迎えます。また非再生系の老衰死は、100歳くらいです。
 このように見て行くと、ストレスや暴飲暴食などによって、再生回数を早く使い切ってしまえば、老衰も早くなり、個体の寿命は短くなるのです。
 反対に、生活習慣をよく保ち、ヨーガなどをやってストレスを解消して生活すれば、細胞の寿命を最大限に活用できるのです。

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