三井さんの死が教えてくれたこと

三井さんの死が教えてくれたこと 7


ネガティブな想念をポジティブに変える方法
 私たちはよいことを思っても、心の深いところで、でも失敗したらどうしようというネガティブな想念を持ってしまうものです。人間の心には、双極性があるからです。強くポジティブに思うと、その反対の極に、それと同じかそれ以上のネガティブな想念が生まれるからです。だいたいよいことを思っても、上手く行かないのはこのケースです。なかなか子供の赤心にはなれません。
 そこで、それを解決するよい方法があります。ポジティブに思って、同時に失敗したらどうしようとネガティブな思いがでてきたら、いや失敗してもいい、そこで成長ができるのだ、これも宇宙の采配だ、宇宙がもっと成長する機会を与えてくださっているのだ、と思うのです。そうすれば、失敗したらどうしようというネガティブな想念は消えてなくなります。

 三井さんは、亡くなられて、意識は量子真空へ入ったことでしょう。でも死んでも、しばらくは量子真空に自我意識(エゴ)が残っています。そのために自分の自我意識が、死んでいる自分の姿を見ることがあります。幽体離脱という体験を語るのはこのことです。
 生きているときの現実自己は、意識のなかに自我意識(エゴ)を持っています。死んで意識が量子真空へ入ると、だんだん自我が無くなっていき、自然に不安や恐れが消えていくのです。量子真空には、不安や恐怖を消す強い浄化作用があるのです。
 一般的に、世界中に死後の儀式の風習があるのは、死者が苦しみから解放されるように、残された人々が願うからです。本来は、死んで量子真空に移ったら、しばらくして自我が薄れていき、やがて深層自己はすべての苦しみから解放されます。だから本当は盛大にお金をかけて葬儀を行なう必要はないのです。

亡くなった娘と会う
 三井さんは亡くなったばかりで、深層意識にまだ自我意識(エゴ)が残っていますので、しばらくは量子真空の深層意識とつながることはありません。そして三井さんの自我は、直ぐに亡くなった娘さんの史子はどこにいるの? と思われたことでしょう。病気で娘を亡くして、母親としてはもう一度会いたいという強い自我意識が働いたことでしょう。

 すると、母親の意識を察した史子さんの深層意識は、直ぐにそれに応じます。すでに量子真空で史子さんは超自我意識(無我)になっていて、宇宙意識と一体となっていますので、生前の自分の姿、形や声などを、母親に分かるようにホログラム原理で再生します。三井さんは、光輝く至福に満たされた我が娘をみて感動します。臨死体験では、よく光の存在に会った、とか至福に満たされた存在に会った、と体験談を話されますが、この光り輝く故人の存在に出会った体験が、臨死体験なのです。

 自我が消えた後は、世界と私を隔てていた強固な自我の壁が消えるため、すべての情報や知識や叡智に触れることができます。それは、私を主語とした記憶が、すべて消えていくことを意味しています。

 量子真空に入った三井さんは、だんだん自我が消えていきます。それは、人生の苦しみの根源であった自我が消えていくことを意味します。ブッダは、生きることは苦であると言いました。生存本能に根差した自我は、生きている間はけっして無くなりません。自我が消えると、生存の不安から解放され、死の恐怖や不安が自然に消えていくのです。

 自我が消えるとは、エゴが消えるということで、私(自分)が消えるということを意味しています。しかし、自我意識(エゴ)が消えても、決して消えない私、本当の自分(真我)があります。
つまり、自我(エゴ)が消えて宇宙意識と一体となっても、けっして消えない自分、本当の自分、真我は消えません。量子真空では、自然に、だんだんに自我が消えていきますが、その過程を仏教では成仏すると表現し、そこに到達した至福の世界を涅槃と呼んできたのです。

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