ひとり 静かに

ひとり 静かに


ひとり 静かに 座り
眼を閉じていると 地球が見える
ロゴス(言葉)が消えて 
地球の気持ちが 伝わって来る

地球は 人間のためだけに在るのではない
心の中の ロゴスが消えると
やがて 私は 宇宙に生かされている という気持ちが湧きあがり
地球は 生きている ということに気づく

地球に 戦争が起きようが 
地震が起きようが
津波が起きようが
火山が噴火しようが
コロナウイルスが蔓延しようが
宇宙は それらをすべて よし と認めているのだ
認めているから 起きるのだ

それらに いいとか悪いというラベルを貼るのは 人間の判断なのだ
宇宙は 人間の判断を超えている

昔20代のころ 私はアフガニスタンのバーミアンで 大石仏を見た
ヒンズー・クシ山脈の山並みは 美しく 人々の生活は想像するよりも 貧しく 苦しい
私は 思わず
「大石仏よ! 自然は余りにも 酷ではないか」
と非難してしまったことがあった

私たちは 宇宙から生まれて
いっとき 地球で過ごし
やがて 宇宙へ帰って行く

この世に生を受けた 私たちは
無限の過去から 生まれ変わり 死に変わり
死に変わり 生まれ変わって
今 ここに存在している
その自分とは 一体 何なのか?

ブッダは それを 業熟体(ごうじゅくたい)と言った
先祖の無数の遺伝子を受け継いでできた身体ということだ

私たちは 地球をいじくりまわして
金儲けばかり 考えていないだろうか
私たちは 感謝を忘れてはいないだろうか

地球に住まわせてもらっていることに 感謝する
生きていることに 感謝する
呼吸していることに 感謝する
おいしく食べられることに 感謝する
地球は美しいが 自然は素晴らしいが
たとえ地震を起こしても
津波を起こしても
火山の噴火を起こしても
地球は 生きているのだから
それを非難することはないのだ
それを 受け入れればいいのだ

そうして ひとり静かに 瞑想する
瞑想に 感謝すると
本当の心が 喜ぶ

本当の心が喜ぶのは
地位や 財産や 名誉を手に入れることではない
ただ本当の自分で 在りたい だけなのだ

世界中を旅して
どんな豪華なものを見ても
ありふれたわが家に帰ったとき
ああ やっぱり自分の部屋がいい と思う
それは 本当の心が 喜んだ証拠なのだ

瞑想で 自分と向き合い
思考(言葉)が消えると
宇宙と一体であると感じ
不足しているものは 何もない と分かり
しなければならないものは 何もない と分かり
心は 平安に導かれるのだ

このような不安な時代に
コロナウイルスは 自分と向き合うことを教えてくれた
宇宙の叡智―レンマ的知性は ささやく

「さて このような状況になって
お前は どう生きるのか」

そのささやきに 応えて
眼にするもの すべてに 感謝し
ひとり 静かに 座って 瞑想すれば
不安や恐怖は消えて 今ここに在る 幸せに変わるのだ


2020年3月27日   望月 勇