AIの時代に幸せに生きるヒント 1
根拠のない自信が尊い
人間は、成功体験や実績がなくても、「自分ならできる、きっとうまくいく」 という根拠のない自信が大切です。
今思えば、私が20代のころ、独りでシナイ半島の沙漠を歩けたのも、富士山より少し高いだけと思い込んでキリマンジャロの天辺(5,895m)に登れたのも、根拠のない自信があったからです。
学歴があるとか、こういう資格を持っているなどの理由で自信を持つ人々もいるかもしれません。それよりも、何も持っていない自分が、いろいろなことにチャレンジできるという根拠のない自信の方が尊いのです。自分には何もないけれども、チャレンジできるという確信と、それを裏付ける努力が、人生を豊かなものにするのです。
人間の脳は、今までできなかったことができた時に、神経細胞は最も活発になり、報酬系のドーパミンが分泌されます。自分ができなかったことができたときに、ドーパミンの喜びに祝福されるのです。
報酬系とは脳の特定の回路で、活性化するとドーパミンが放出されます。ドーパミンは、「やる気」「意欲」「快楽」「満足感」をもたらす神経伝達物質です。
歴史を振り返って見ますと、200年くらい前に工業化が起きて、資本主義が始まりました。後期は金融やサービス業が発達してゆき、計算能力や語学力や、博覧強記の認知能力を持った人々が活躍する時代になりました。
現在では、少々記憶力がいいとか、語学力があるとか、計算が速いとかのようなホモサピエンスの能力は、人工知能や量子コンピューターなどによって置き換えられ、ホモサピエンスの能力は無力化されつつあります。実際にAIの進化により、将来なくなる可能性の高い職業がかなりあります。
今までは進むべき方向性がありました。一生懸命に勉強をして有名大学に入り、政府機関や大会社へ就職すれば、誰でも高給を得て、地位や名誉や財産も手に入れることができるという目標がありました。それは19世紀の出世を目指す賢さでもありました。しかしそれらの仕事は、本当に自分がしたかった仕事だったのか、それによって内的な幸福を得られたかはまた別だと思います。
現在はAIに自分のやりたい仕事は何かと問えば、人工知能がすぐに答えてくれます。そうすると、いままでの出世コースを目指す目標が変わります。目的は人それぞれになって多様化します。するとそれは、ちょうどAIの荒野へいきなり放たれたようで、すごいストレスを感じ、逆に生きることが難しくなっていくように思われます。
ここで大切なのは、自分なりの哲学を持つことです。どんなふうに幸せになりたいのか、どうなったら自分は嬉しいのか、あるいは幸せなのかをきちんと分かる力です。楽しさを見つけて楽しむ力です。将棋の藤井聡太や野球の大谷翔平などを見ていると、いつも楽しそうです。