石垣島のリラックス 3
西表島
合宿後のツアー体験も、人生の収穫物になるものばかりでした。まず20名で西表島へ渡りました。この日は少し寒くて、風が強く、雨がぱらついてきました。島には45分で着きました。
このホテルには、珍しく温泉がありました。沖縄の人は、いつも気温が高いので、温泉につかって体を温める習慣はないようです。温泉に入り、夕方、西表島のホタル観賞ツアーへ出かけました。山の中の道は、漆黒の闇に包まれました。日本最少のヤエヤマボタルは、光を嫌うので、真っ暗闇のなかで、じっと光るのを待ちました。鳥や、カエルの鳴き声が聞こえてきます。この夜は、寒かったのか、ようやくヤエヤマボタルが、光を点滅させるのを見ることができました。
翌朝は、西表島のジャングルへ向かいました。途中、電信柱に特別天然記念物のカンムリワシを見つけました。車から降りて、雨が降ってきたのでレインコートを着て、長靴に履き替え、密林の獣道を分け入って進みました。名前を知らない珍しい植物をかき分けながら進みました。幹のように太いつると、細いつるがあちらこちらに絡み合い、シダが樹木のように高くそびえている姿は、まるでジュラシックパークのようでした。地下は硬く養分がないので、樹木の根っこがニシキヘビのように地を這っています。
どれくらい獣道を登って行ったのか、川のせせらぎが聞こえてきました。ジャングルに覆われた沢は、少し崖を降りた所にあり、クーラ(幸運を呼び込む)と呼ばれる滝もありました。落差5メートル程の小さな滝は、平たい岩棚の窪みから、白いすじとなって、音を立てて落ちていました。滝つぼの水は、沢に点在する岩の間を流れていました。水のせせらぎと澄んだ空気に、心が洗われるような場所でした。沢の中にある平らな岩の上で、瞑想をすることにしました。
滝を正面に20分瞑想をして、そこから滝を少し登った上流の、滝の音のしない静かな岩の上でも、15分瞑想しました。
あっという間に時間が経ちました。何と心地よい至福の時間だろうと思いました。
この瞑想で、私は気づきました。視界の利かない、暗い森の中の、川のせせらぎに包まれ、私の心は、内側に向いていました。瞑想する意識もなく、心が、ふと、瞑想の状態に成っていたのです。
よく考えると、私たちは、「瞑想する」 「瞑想で無になる」 「頑張って瞑想する」 などと意図をもって瞑想します。その人為的な雑念が、本来の瞑想を邪魔することに気がつきました。真の瞑想は、心に意図がなく、自然に、瞑想に成るのです。
「瞑想する」 から 「瞑想に成る」 ことに、私は気づいたのでした。
この気づきから分かるのは、自然に身を浸すことが大切であることです。自然に身を任せる、ゆだねることです。すると、自然に瞑想の状態に成っているのです。例えば、夜空の星を眺めます。星と一体に成っています。そこに時間はありません。そのあと、「ああ美しいな」 と思った瞬間、人為的な意図が働いて、瞑想状態が瞑想でなくなります。美しい夕日を見て、そのあと、「何てきれいだろう」 と思った瞬間、瞑想でなくなります。瞑想は長さではなく、質だと思いました。