心とは何かを探し求めて 8
アインシュタインの登場
ところが、それに気づいた人物がただ一人いました。アインシュタインです。彼は、奇しくもマックスウェルが亡くなった年、1879年に生まれました。そのアインシュタインは、16歳のころ 「光を追い越すことはできるだろうか?」 と考えていました。そしてスイスの連邦工科大学の学生だったとき、光に対するマックスウェルの方程式に出会いました。そこでニュートンとマックスウェルの方程式を使って光について計算してみたところ、マックスウェルが正しいことが分かったのです。そして、20世紀の流れを変えるとてつもない新理論、「相対性理論」 を生み出すことになるのです。
その頃、物理学は、空間と時間、および質量とエネルギーにもとづくアインシュタインの新理論と並行して進歩していました。そして 「物質は何でできているのか」 という大昔からの疑問を解き明かしつつありました。これが、量子論につながっていくことになるのです。こうして、アインシュタインは、量子論の土台を築いたひとりになるのでした。
量子論の登場
そうして多くの物理学者たち、ニールス・ボーアやエルヴィン・シュレーディンガーやウ゛ェルナー・ハイゼンベルクなどが、量子論を解き明かしていきました。すると、スーパーコンピュータやレーザー、インターネットなど数々の機器が生み出されていき、史上三番目の大きな革命、ハイテク革命をもたらしました。それが現代世界を築き上げているのです。
私たちは、量子論というとあまり親しみを感じません。それは量子力学が、見えない世界を対象にしているからだと思います。例えば机なら、目に見える机を対象にしているニュートン力学では理解し易いのですが、机を構成している量子のような目に見えない世界となるとよくわかりません。しかし、この見えない世界が、見える世界の成り立ちのすべての基礎になっているのですから、量子力学を基礎にして考えないと、見える世界の本当の姿は分からないのです。
目に見えない原子は、原子核とその周りを回る電子に分割されますが、原子核の大きさは一兆分の1cm。原子核を一円玉としたら、一円玉は地球三つ分の大きさになるそうです。想像を絶する小ささです。そこでは、ニュートン力学の常識は通用しなくなるのです。
では、そのニュートン力学の常識が、通用しなくなる点はなんでしょうか? 3つあるといいます。
一つ目は、量子の運動は連続しないこと。量子がとつぜん消えてしまい、異次元に行ったかのような動きをするのです。
二つ目は、人間の意識が変化をもたらすこと。人間の意識が、量子に変化をもたらすのです。思考が、量子に変化を与えて現実化するのです。
三つ目は、因果律が通用しないこと。因果律が通用しないのは、時間も空間も実際にはないということです。