心とは何かを探し求めて 7
ニュートンの登場
そのガリレオは、1642年に世を去りますが、面白いことにまさにその年に、英国でアイザック・ニュートンが生まれるのです。奇しくもニュートンの誕生は、ガリレオやケプラーが仕上げられなかった理論を、あたかも完成させるために転生してきたようです。
ニュートンが運動と重力の法則を発見すると、蒸気機関を完成させて産業革命の土台が築かれました。ニュートンの法則は万能でした。星の動きを知ることができ、NASAの技術者が太陽系のあちこちに探査機を飛ばすことがでるのもニュートンのお陰です。また高層ビルやエンジン、ジェット機、電車、橋、潜水艦、ロケットなどの設計をするのにも用いられています。このニュートンの法則は、現代の夢である万有の理論と考えられていました。
それから200年後に、英国のマイケル・ファラデーとケンブリッジ大学の数学者ジェームズ・クラーク・マックスウェルが、電気と磁気を解明すると、都市に明かりがともされました。そして強力なモーターや発電機のほか、テレビやラジオによる瞬時の通信が実現することになります。
ケプラーとガリレオが、ニュートン物理学の基礎を築いたと同じように、ファラデーはマックスウェルの方程式を完成させる道を開くことになりました。
このマックスウェルの方程式を応用すると、電気のエネルギーはスイッチひとつで、都市全体に電力を供給することができました。その電気の時代に二人の巨人、トマス・エジソンと二コラ・ステラが現れるのです。こうして、テクノロジーにおける第二の大革命、電気の時代がもたらされました。
ニュートンの方程式とマックスウェルの方程式が組み合わさると、自然の謎が解き明かされ、新たな経済繁栄の時代がもたらされました。そのうえに、きわめて説得力のある万物の理論ができあがりました。そして、1900年を迎えるころには、科学者たちは、「科学の終焉」 を宣言し、発見できるものはすべて発見された、と思っていたのでした。
そのころの物理学者は、ニュートンの方程式とマックスウェルの方程式という二本の大きな柱が、両立しないものだとは気づいていませんでした。実は両者は相反していたのです。