内臓でヨーガをやるとはどういうことか? 4
頭から意識や言葉を無くす
多くの芸術家が、頭から意識や言葉を一掃することで、真の孤独、無心になれ、頭から発する意識や言葉ではなく、肉体が発する感覚に耳を傾けて制作する時、真の魂の発露となる作品ができるといっているのは、この身体に備わっている英知・感覚のためなのです。
アーサナもそうです。体をゆるめて、内臓から来る心地よい波動に、無心になって身を任せ、ただ身体に備わっている英知・感覚を感じるだけです。そこには知覚、意識、言葉はありません。これが、内臓でやるアーサナです。大変シンプルで、簡単ですが、これがアーサナの本質です。「ヨーガ・スートラ」 では、心の働き(言葉)を死滅させたら宇宙と一体になれる、と述べています。意識や言葉は、ちょっとでも隙があると心に忍び込もうとしているからです。
最後に、最近ヨガ教室に参加されたお二人の感想文を紹介します。この二つの感想文の中に、内臓でヨーガをやっている姿が現れています。どうかご参考にしてください。
感想文1
「本日は、赤坂会館でのお教室、本当に素晴らしい時間でした。
ありがとうございました。
先生のエッセイにのめり込んだせいか、今日は自分身体の細胞の一つ一つがゾウリムシのように単細胞動物のように力強く生命をもって、身体はその集合体のような気がしました。一匹一匹のゾウリムシが皮膚感覚をもって共鳴し合うような感じになりました。そうすると信じられないほどリラックスしすぎて、帰りは雲の上を歩いているように身体は軽く、家では30分ぐらいだと思うのですが気を失ったように深く深く眠りに落ちて、地球の裏側まで行ってしまったような、目覚めたときはどこにいるのかわかりませんでした。
コロナ渦で先生のお教室のメニュ-はいつもとは違う部分もあり、またそれが新しい発見が多く興味深く感じます。みんなでハミングするのは、チベット仏教のお経の独特の倍音が重なっているような音を耳で聞いていると、不思議に心の癒やしを感じました。
先生が送ってくださる気に乗って、
大空を翼を広げて飛ぶ事の気持ちの良さ!
鳥の気持ちがわかります・・・
(略)
心と内臓のお話しも、普段は物事は頭で考えていると思っていましたし、もっと若いときは勢いにのっていて、頭で考える事に重きをおいて、皮膚感覚とか内臓で感じるという事がおろそかでした。でも、先生のヨガを始めた頃から、少しずつですが、確かにある気などを皮膚感覚で感知して、また気配のような物の存在、意識したことのなかった内臓一つ一つを意識しながら、本来の機能ではないけれど、納得がいく、腑に落ちるのはまさに脳ではなく、内臓だと改めて先生のお話から意識しました。
考えてみれば、先生のおっしゃるクロノス的な時間をずっと過ごしてきたような気がします。バタバタとした日常、仕事などから解放されて、これから豊かなカイロスの時間を持っていける、年齢とともに環境が整ってきたことに感謝です。先生の今回のエッセイで一番響いたのはこのクロノスとカイロスの時間のお話しです。この辺が今の私にとってとても深く考えてみたいくだりです。
先生の文章はいつも深くって本質的で、美しいほどの真理が書かれています。
読み手のほうの力不足ですが、先生の本やエッセイの話を自分たちに引き寄せて主人ともよく話をするチャンスを頂いています。
心から感謝申し上げます。」