三井さんの死が教えてくれたこと 4
三井さんの死が教えてくれたこと
今、三井さんの死に直面して、人間には、避けられない三つの絶対があることが分かります。一つは、必ず死ぬ。二つは、人生は一度切り。三つ目は、いつ亡くなるか分からない。三井さんの死は、そう教えてくれているのです。
必ず死ぬ
私たちは、必ず死ぬことは、誰でも知っています。ただそのことを考えないようにして、いつまでも生きると思って生活しているだけなのです。前のエッセイで 「死について考える」 を書きましたが、それもご参考にしてください。
もし人間に死がなかったり、何百年も生きられるようになったら、生きている意味がなくなるのです。死があるからこそ、今この一瞬が尊いのです。輝くのです。
昔から、「メメント・モリ」(ラテン語で、自分が必ず死ぬことを忘れるな)といわれてきました。
死を意識すれば、風景が一変して、すべてが愛おしく見えるのです。
一度切りの人生
私たちは、この一度切りの人生を何に使うのか、人それぞれですが、過去のこととか、未来のことにエネルギーを使うのではなく 「今ここ」 に心をおいて、この瞬間を楽しんで生きればいいのです。三井さんの死がそう教えてくれています。
どうか 「今ここ」 に心をおいて、一度切りしかない人生を悔いのないように生きてください。
今あなたが、何かをやろうと考えているとしたら、一度切りしかない人生で、それを本当にやる価値があるのか? と、ご自分の胸に問うてください。
Appleの元創業者ステイーブ・ジョブズも、すい臓がんの手術を受けた後、こう述べています。
「(略)人生で死にもっとも近づいたひとときでした。今後の何十年かはこうしたことが起こらないことを願っています。このような経験をしたからこそ、死というものがあなた方にとっても便利で大切な概念だと自信をもっていえます。
誰も死にたくない。天国に行きたいと思っている人間でさえ、死んでそこにたどり着きたいとは思わないでしょう。死は我々全員の行き先です。死から逃れた人間は一人もいない。それは、あるべき姿なのです。死はたぶん、生命の最高の発明です。それは生物を進化させる担い手。古いものを取り去り、新しいものを生み出す。今、あなた方は新しい存在ですが、いずれは年老いて、消えゆくのです。深刻な話で申し訳ないですが、真実です。
あなた方の時間は限られています。だから、本意でない人生を生きて時間を無駄にしないでください。ドグマにとらわれてはいけない。それは他人の考えに従って生きることと同じです。他人の考えに溺れるあまり、あなた方の内なる声がかき消されないように。そして何より大事なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことです。あなた方の心や直感は、自分が本当は何をしたいのかもう知っているはず。ほかのことは二の次で構わないのです。(略)」(スティーブ・ジョブズ氏が2005年6月12日、スタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチ原稿の翻訳の一部より。)
いつ死ぬか分からない
昔、20代の放浪している時でした。南インドで、サイババという超能力者に会ったことがありました。空中から物を出すということで、その当時はまだ日本ではあまり知られていませんでしたが、世界中から信者がいっぱい集まっていました。そのサイババが、自分の死ぬ日を予言しました。ところがサイババが死んで、予言は外れました。このように自分がいつ死ぬかは、誰も分からないのです。
超能力者といえども、いつ死ぬか分からないからと言って、私たちはなにもできない、無力の人間かというと、そうではないのです。超能力者でなくても、人間はだれでも、本来秘められた叡智と、宇宙の無限の力をもっているのです。
人間には、ひとり静かに静寂の世界に浸ったり、深いリラックスをしたり、瞑想の世界にいると、表面の意識よりさらに下の深層意識に働きかけることができるのです。そこから人間のもっている宇宙の無限の力を引き出すことができるのです。
みなさんは、今まで生きて来て、ふしぎな体験をしたことが、少なくても二つや三つくらいあると思います。それらは、今までは、科学によって否定されてきました。
直観で、ふと正しい答えが分かったり、次々にふしぎなめぐりあわせが起きて上手くいったり、予知を感じて難を逃れたり、虫の知らせがあったりと、ふしぎな体験をしてきたことと思います。
今ではこれらは、レンマ的知性や、シンクロニシティ(共時性)や、量子もつれで説明がつくのですが、今までニュートン力学では、否定されていました。ところが量子論が出て来てからは、理解されるようになりました。