竹富島で日本人のルーツを考える 1
西表島の密林にて
―― ここに 美しい 「密林」 がある。
「密林」 の美しさというようなものはない。「密林の美しさ」 という想念は、観念に過ぎるだけでなく、経験の事実を伝えていないように思われる。
私に許されているのは、ただ美しい 「密林」 を見ることだけである ――
「密林」 の美しさというようなものはない。「密林の美しさ」 という想念は、観念に過ぎるだけでなく、経験の事実を伝えていないように思われる。
私に許されているのは、ただ美しい 「密林」 を見ることだけである ――
このようなことを考えながら、私は、西表島のジャングルの獣道の坂道を、足元を確かめながら、ゆっくりと登っていました。周囲は緑に包まれて薄暗く、途中、シダが大型の大木となって、傘のように天にそびえています。見上げると、何やらジェラシック・パークのようでした。
30分位登ったでしょうか。沢に出ました。岩と気の根っこにつかまりながら、崖を注意深く降りました。沢を流れる水は、想像以上に豊富で、轟音をたてて、まるで耳をふさがれたような気分になりました。
激しい水流の音と同時に、頭の中の想念も消し去られました。右側の風景と、左側の風景の色が、なぜか異なって見えました。
私は、沢の流れに浮かぶ平たい岩の上に座りました。沢の水流に耳をふさがれた時から、瞑想をするのではなく、瞑想に成っていました。
ふと我に返り、腕時計を見ると40分が過ぎていました。一緒にいたグループが一人もいません。周りを見渡すと、他のグループが沢へ降りて来るのが見えました。