ヨーガを生きがいとして

ヨーガを生きがいとして 2


生きがいとしてヨーガをやる

 それでは、ヨーガを生きがいとしてやることに決めます。そこで一つ大切なポイントがあります。末永く、死ぬまで続けるには、できるだけ簡単で易しいルールをつくることです。毎日必ずやるとか、朝晩1時間欠かさずやるとか、というきびしいルールを決めないことです。2、3日できない日があっても、次の日にやればいい、というふうに易しく決めることの方が長く続くのです。
 ヨーガを最初から張り切ってやる人がいます。それはそれでいいのですが、そういう人に限って、火のようにパーっと燃えて、しゅんと燃え尽きてしまいます。穏やかに、水が流れるようにやる人の方が、長く続きします。

 最近、ロンドンの私のヨーガ教室に通っていた女性と、15年ぶりにお会いしました。85歳でお元気です。元気なのは家で、教室で習ったヨーガをやっているお陰ですといっていました。どういうふうにやっていますか? とお聞きしたら、体調が思わしくないと、しばらくヨーガを忘れていたことに気づき、またヨーガをやると気持ちよくなり、体調がよくなります、というのです。この人も、忘れてもまた思い出してやればいいという易しいルールを決めているので、長くヨーガが続くのだなと思いました。

 素晴らしい生き方があるとすれば、毎日同じことを繰り返すことです。毎日ヨーガをやって、同じことを繰り返していることに、命の本質があると理解することです。昔、中東でカーペットを織っている家族を見学したことがありました。毎日毎日同じことの繰り返しですが、半年、一年経つと見事な模様のカーペットができあがっていきます。このように繰り返しのなかで新しいものができていくのだと感じられれば、繰り返しのなかに生きている意味を感じられます。
 ヨーガをやり、「今ここ」 に心をおくのです。過去でもなく、未来でもない、「今ここ」 に心をおくと、今生きていることに気づき、命を感じ、生かされていることに気づかされ、感謝の気持ちが湧いてきます。

 現在、ロシアによるウクライナ侵攻が続くなか、私たちにできることは何か?と問われたら、私は 毎日をちゃんと生きること、と答えます。毎日をコンスタントに生きていることが、戦争にたいするアンチテーゼになるからです。

 そうして、ヨーガを生きがいとして、毎日コンスタントにヨーガを続けていきます。ポーズをつくって交感神経を高め、その後リラックスして副交感神経を高めます。すると自然に自律神経のバランスがよくなり、健康になっていきます。ヨーガは心と体は一体と考えますから、肉体がリラックスすれば、心もリラックスして精神的にもよくなります。
 またヨーガは、心をコントロールする技法でもあります。その技法には、アーサナ(ポーズをつくること)や呼吸法や瞑想があります。ヨーガの目指す目的は、この技法を訓練し、心の働きを止めて、宇宙と一体になることです。
 『ヨーガ・スートラ』(ヨーガ根本経典)には、「ヨーガとは、心の働きを止めることである」 と簡潔に記されていますが、実はこれが、最も難しいのです。

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