ヨーガを生きがいとして

ヨーガを生きがいとして 4


ネガティブな過去の記憶をよい方へ反転させる

 ヨーガをやっていても、どうしても心配症の人は、いつも不安を感じてリラックスできないといいます。そういう人は、こう考えればいいのです。
 370万年前の太古から、人類は猛獣などの外敵におびえながら生き延びてきました。そうして不安を感じ、心配して生き延びてきた人類の子孫が、私たちなのです。進化の過程で私たちは、そのときに刻まれた不安遺伝子をもっていますから、不安を感じるのは当たり前なのです。不安を感じ、危険を察知しなかったら、生き延びて来られませんでした。ですから、心配性の人は、「不安を感じても、私は正常なのだ」 と思うことです。

 脳は、信じられないほどの記憶力(記憶の容量)がありますが、人生で体験したことをすべて記憶することはできません。そこで脳は覚えておくべき記憶を選んでいます。脳がこの記憶を残すかどうかを選択しているときは、眠っている間だそうです。脳は生き延びるための重要だと思う記憶を優先して保存するのだそうです。
 ですからトラウマとなった忘れたい記憶は、実は重要な記憶なのです。それをいつも思い出してしまうのは、何としてでもまた同じ状況に陥らないようにし、また同じ目に会ったら前回どのように危険に対処したのかを、鮮明な映像で見せて、教えようとしているのです。

 また記憶は、必ずしも正確に覚えているのではないといいます。記憶の最も重要な任務は、体験したことを正確に再生することではなく、私たちを生き延びさせるためなのです。あえて思い出すことで、記憶をアップデートしているのです。記憶は、私たちの精神状態によって塗り替えられるというのです。精神状態が良ければ、記憶は少しポジティブになり、悪ければネガティブになります。記憶は変化してしかるべきものだそうです。
 トラウマで悩んでいる人は、どうぞヨーガをやって、心が明るくなっているときに、時々トラウマの記憶を紙に書いてみてください。記憶は、思い出すたびによい方へアップデートされていきます。

 このことを理解すれば、幸福度を高めることもできます。今幸せを感じられなかったとしても、過去の楽しい思い出を振り返れば、幸福度が上がるのです。過去のことを思い出すことは、過去のことにすがっているととらえられ、ネガティヴなふうに見られますが、脳科学の研究ではそうではないのです。
 過去と未来を考える脳の回路が同じということが分かったからです。過去をマイナスに考えると、未来もマイナスに考えてしまうからです。反対に、過去をプラスに、幸せに考えると、未来も、プラスに、幸せに考えることができるのです。

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