コロナ禍の生活のなかで考えたこと

コロナ禍の生活のなかで考えたこと 2


プラティヤハーラ(制感)の体験
 そして、ヨーガでは、本当の自分(真我)は、完全で完璧で、病気になることも痛いことも苦しいことも辛いこともない、純粋意識なのだと説きます。
 そこで、私はヨガ教室で、病気になっても、痛くても、辛くても、本当の自分は完璧で病気ではありません。痛いのは肉体が痛いのであって、本当の自分は痛くありません。辛いのは、心が辛いと思うだけで、本当の自分は辛くも何ともありません、ということを、時々話してきました。

 今年(2020年)の夏、コロナ禍で中断していたヨーガ教室を、8月3日から6人限定で再開しました。参加される皆様は、熱心な人たちばかりで、ロンドン郊外や、中には地方から始発に乗ってようやく10時のクラスに間に合うという人もいます。
 その中の一人の女性が、庭仕事をしていたらWASP(スズメバチ)に射されたというのです。気がついたら、下着に3匹蜂が入っていて、三カ所刺されました。腫れて熱がでたら明日のヨーガ教室に参加できない、どうしようと思った瞬間、私がヨガ教室で話した言葉がでてきたので、「刺されて痛いのは、私の肉体が痛いのであって、本当の自分は痛くない、腫れて熱がでるのは、私の肉体が腫れて熱がでるのであって、本当の自分は腫れることも熱がでることもない」 と強く念じたというのです。
 すると、蜂に刺された所が痛くなくなり、ほとんど腫れもしないで、無事にヨガ教室に参加できました、と報告してくれました。

 彼女に、咄嗟に私の言葉がでてきたのは、ヨーが教室に参加されて、耳や頭だけではなく、皮膚で見たり聞いたりしていたからだ、と私は思いました。皮膚には不思議な力があり、見たり聞いたり予知したりできる能力があるのです。まさに、肌で感じていたからです。

 こういうことは、以前からありました。ある人は、ホームで転んで膝と手首をすりむきました。咄嗟に、私の言葉がでてきて、「痛いのは、私の肉体が痛いのであって、本当の自分は、痛くも何ともない」 と思ったら、不思議なことに痛みもなく、速く治ったというのです。

 また、ある人は、ヨーガ教室に参加されて、毎回他人の欠点を見つけては、心で批判していたそうです。その為か、中々友達ができなくて、いつも一人ぼっちで寂しいと思い悩んでいました。
 ある日、ヨーガ教室に参加して、「寂しいのは心が寂しいと思っているだけで、本当の自分は、寂しくない、太陽のように光輝いている」 という話を聞いて、シャバアーサナをしました。すると、いつもよりも深くリラックスができました。その時、不思議なことが起きたというのです。自分が天井から、床に横になっている自分とみんなの姿を見下ろしているというのです。そうしたら、みんなが愛おしく思えて、涙があふれて、欠点を批判することがまったくなくなったというのです。そんな不思議な体験をした後、友達が次々にできて、寂しさはなくなったというのです。

 実は、私にも、次のような体験がありました。ある日、電話へ急いで出ようとして、ラジエーターの金属の角に、右足の薬指をぶつけました。電話で話している最中、ふと右足の薬指を見ました。指が直覚に曲がっているのです。骨折したに違いありません。電話が終わった後、痛みをこらえて曲がった指を真っ直ぐに伸ばして、中指に縛りつけました。見る間に内出血して、足の甲が腫れて紫色に広がりました。
 その時、最初に、本当の自分が痛くないと思っても、痛いものは痛いのだ、我慢するしかないのだと思いました。それでも、これはいい体験だと思い直して、「私の真我は、完璧で、痛いこともありません」 と念じたのです。すると、痛くないのです。痛みはあるけれども、痛くないという不思議な感覚でした。その後、医者にかかることも、ヨーガ教室を休むこともなく済みました。

<<前ページ 1 2 3 4 5 6 7 8 次ページ>>