アイルランドの遺跡の旅 4
そうしながらも、時々私は周りの移り行く風景に目をやり、眺めていました。その時私は、ヨーガでいう真我、本当の自分は心や肉体ではない、それを見るものであり、知るものである、と物事を客観的に俯瞰的に見ていました。自分の中にある思考や感情よりも大きな部分があって、そこから自分を見つめていました。そこには聖なるものと結びついている、常に平穏な部分があると感じていました。この時私の脳波はガンマ波になっていたかもしれません。この脳波は、最も周波数が高く、集中の極み、感覚の高まり、より高い次元での覚醒、と関係しているといわれています。
これらを整理すると、集中し(ベータ波)、達成感を思い描き(アルファー波)、客観的・俯瞰的に眺める(デルタ波)を、何回も繰り返していたことになります。
以上のことから、私には超越した感覚状態を得て、それを実現するには、三つの感覚を総合的に使う必要があるのではないかと思いました。
また時間ではありませんが、台風についても不思議なことがいくつかありました。台風が確実に来ると分かっているので、その日開催地でヨガ教室を準備していなかったことがありました。そこに私が予想をくつがえして飛行機でやってきたので、みんな大慌てになったことがありました。台風が、短時間のうちに奇跡的に進路をずらしたのです。
もっと不思議なのは、帯広へ台風がやってきていました。札幌空港は閉まり、鉄道も運休していました。帯広から羽田へ向かう朝の便だけは、なぜか欠航になっていませんでした。
ヨガの担当者が、当日の朝ホテルに車でお迎えに来てくれました。というのは、意外にも天気が晴れて穏やかになっていたからです。「今テレビでは台風が帯広の海上に来ていると報道しているのに、どうしたことでしょうか? 台風の目に入ったのでしょうか?」 担当者は、車を運転しながら、「どうしてですか?」 と何回も私に質問してきました。私は、「不思議ですね」 というしかありませんでした。
今なら、台風と私の想念に、量子もつれが起きたのでしょうと答えます。
だいぶ横道にそれました。ところで旅は順調に進み、アイルランドの西にあるゴールウエイの街を抜けて、お昼前にモハーの断崖を見物できました。その断崖の垂直の絶壁は高さ200メートルあり、海岸に8キロに渡って連なる絶景は、地の果てという感じでした。
私は、垂直の絶壁の縁に立ちました。天気もよくなり、ちょうど陽が射してきて、大西洋の静かな大海原を照らしていました。
その翌日、朝9時に、15,6名の少人数のツアーで、小型のバンでニューグレンジの遺跡へ向かいました。昨日は、岩盤の大地に緑の草がへばりつくように広がり、樹木がまばらにしか見えない風景でした。今日は、ダブリン郊外から樹木が多く繁り、緑豊かで、よく晴れた気持ちのいい日になりました。ダブリンから車で1時間ほど走りました。