超越的な感覚で時間を伸ばし、思いを実現させる方法 4
量子論の世界
ここからは、時間は、物理的なものであると同時に、感覚的なものであるという考え方について説明します。
まず私たちが経験する物理的領域は、アインシュタインの重力、相対性理論の世界によって特徴づけられ、世界の多くの科学者たちの研究のおかげで、時間はゴムひものように引っ張って伸ばしたり、縮めたりできることが一般理解になっています。
また一方、感覚的領域は、神秘的で奇妙な量子論の世界によって特徴づけられています。
物質を構成するミクロな粒子は、私たちが日常で感知できる大きな物とは異なる振る舞いをするのです。それらの粒子は、ある場所に一瞬いたかと思うと、理由もなしに別の場所で発見されることもあります。「因果の法則」 に従っていないように見えるのです。
研究者たちは、量子の世界で「確実性」をどこにも見つけられないでいるのです。
それでは量子の世界の奇妙な点を見てみましょう。
一つは、「観察者効果」です。量子論が生まれる前は、光子(光の粒)は波なのか粒子なのか長い間論争が続いていました。それに終止符を打ったのが、アインシュタインでした。光は、波でもあり、粒子でもあることを証明したのです。
そうして科学者は、光子を観察すると、観察されているときは「粒子」として振る舞い、観察されていないときは「波」として振る舞うのです。「波と粒子」の振る舞いを同時に観察することは、どうしてもできませんでした。
光子は光子なのだから、科学者が観察しているかどうかなど、光子には関係ないはずです。そこで物理学者は、観察によって、専門用語でいうと「波動関数の収縮」が起きて、波から粒子になることが一連の実験結果から分かったと説明しています。
その結果、人間が量子の融合体に組み込まれる現象を、「観察者効果」と名づけました。そして人間の観察が、現実の構築に一役買っていることを示している効果は、量子物理学の原則となりました。
この発見は、私たちの世界での経験とも、古典物理学の法則にも反していましたが、無視できるものではありませんでした。
そして、約一世紀後には、仮説ではなくなり、ミクロな量子の世界で起きることが、私たちのマクロの世界でも起きている証拠がいくつも見つかっています。
ある研究者は、「観察者効果を起こすのは意識そのものだ」という理論を展開して、「意識が収縮を引き起こす」という言葉を使っています。
量子論の生みの親であるマックス・プランク(1858年~1947年)は、私は意識を根本的なものとみなし、物質は意識から派生したもので、意識を避けることはできない、と論じています。